単身赴任の生活術

この週末(2000/06/04)、九州地方は梅雨入りとなって、計画していた山行は軒並み中止のやむなきに至り、あまりにくさくさするので衝動的に作ってしまいました。

単身赴任は結構辛いものですが、特におっくうな家事の部分は、なるべく重荷にならないように手早くやることが秘訣かもしれません。

というわけで、これはあくまでも私の覚え書きです。

大変厚かましいお願いで恐縮ですが、良いアイデアをお持ちの皆様、是非とも御意見などを頂戴できれば幸いです。

その後、更新しました。いかがなものでしょうか。ご意見をお待ちいたします。_(^^)_


料理

単身赴任において、いい意味でも悪い意味でも結構はまるのが料理である。

料理というのは知的好奇心を刺激するので、特に男の場合、いったんはまると際限なく深化していく傾向がありそうだ。

高い食材に拘ったり、惜しげもなく金をかけたり、自前で蕎麦を打ったり。それはそれで凄いことだと思う。

だが私がここで取り上げるのは、そうした究極のものではない。

日々の生活の中でどれだけ持続しながら続けていけるか、を自分なりに再検討しながら書きつづるものである。従って、基本的にいわゆる「レシピ」には触れない。

【心構え】

単身赴任の料理術において、一番大切なポイントは「無理をしない」ことである。

毎日毎日、飯を炊いておかずを作り弁当まで作ろう、などと最初から気負うと必ず失敗する。

疲れが溜まっているときなどは特にそうだ。無理をして料理に励んでも、辛いだけで精神的にも良くないように思う。面倒くさくなったら、あっさりと外食をする方がいい。

外食をすると、結構自炊の参考になることも多いし、何しろ後かたづけの必要がないから気が楽だ。

また、外食は、大抵「油分が過剰で、野菜が少なく、味付けが濃い」ので、毎日はとても耐えられなくなるだろう。

外食をすることで自炊へのモチベーションが高まってくるのである。

【包丁】

包丁は大切だ。言うまでもなくよく切れる方が料理は楽しい。

定期的に研ぐ習慣を身につけよう。包丁研ぎ器などいろいろな便利グッズがあるが、できれば砥石を使いたいものだ。なるべく面を大きく使って、角度を一定にして表と裏を同じ回数で研ぎ、頻繁に切れ味を確かめる。親指で刃を探るのだが、感覚がわからなければ、後ろ髪に刃を当ててみるといい。抵抗感が感じられたら研げている証拠だ。コバ(マクレ)が残らないように気を付けて仕上げをしよう。

出刃包丁のような片刃のものは斜めに刃の付いた表面を研いだ後、平らな裏面を平らに砥石に当ててコバ(マクレ)をとるようにしよう。

なお、切っている最中にちょっと切れ味が悪くなる、などということがある。こういうときには皿などの糸底(底の袴の部分、「高台」)を使って研ぐと手短でいいだろう。

使い終わった包丁は、丁寧に洗って油分などを落とした後、熱湯をかけ、錆びないようによく拭いて乾燥させてから仕舞うようにしよう。

【買い出し】

一人で食べるのだから、買い出しには気を使うべきである。

特に野菜には注意。小松菜やほうれん草などの葉ものはすぐに痛んでしまう。こういうものは、一気に茹でるか炒めるかして使った方がいい。驚くほど量が減るものだ。茹でたものは冷凍にしておくとかなり保存が利く。根菜類は新聞紙などで包んでおくとかなり長持ちがする。キュウリやピーマンなども冷蔵庫に入れておけば一週間くらいは持つだろう。ネギも新聞紙にくるむともつが、ワケギなどをみじん切りにしておいて、タッパーなどに入れ冷凍しておくと、いろいろに使えて便利である。

肉類や魚類も、最初から冷凍するつもりで買っておく。冷蔵庫のにおいが付く、などということもあるが、香辛料を使って料理すればあまり気にならない。(^^;

因みに、魚を丸ごと冷凍にするときは内臓が入っていた方が長持ちするという話である。

たまの贅沢に刺身が欲しくなることもある。大抵は大根などの「つま」が付いてくるのであるが、これは洗って味噌汁の具にしよう。

味噌汁の具などに油揚げがあるとうれしい気分になる。残念なことにこいつはほとんど日持ちがしない。だが、これも適当に刻んで冷凍しておくと、やはり一週間くらいは平気だ(もっと平気なのだが、個人差がありそうなのでこのくらいにしておく(^^;;;)。

納豆などは元々が保存食なのだから、積極的に利用しよう。卵は茹でておくと日持ちがする。そいつをみそ漬けにするともっともつ。

最高の味方はやはり乾物だ。海苔・ワカメ・昆布・鰹節、などなど、保存が利いて用途も豊富なのである。

最後に一番肝心な注意点は「買いすぎないこと」である。

【後かたづけ】

実はこれが一番手強い。(^^;

だから私は、なるべく食後の作業を省くことをいつも念頭に置いている。

料理を作りながら、手早く片づけていくことだ。刻むものは最初に纏めてやっておき、中身は皿やボウルに入れておく。用済みになったまな板や包丁はその時点で洗って片づけてしまう。

茹でものに使った鍋なども同様に、茹でたものを水にさらすときについでに洗ってしまおう。

最後のおかずが炒め物だとするのであれば、それが終わったときには流しにはフライパンのみが置かれる、という形が最高だ。

食事が終わった後は一気に片づけよう。五月雨式にやっていると嫌気がさすので、お茶の用意くらいを残して洗ってしまう。そのとき拭くのが面倒なら、食器洗い桶に伏せて置いてもいいだろう。ただし、漆器類は水気が残ると痛むので、これはその場で拭いてしまいたい(長時間水につけておくのはもってのほかだ)。

【飯や味噌汁】

さて主食だ。

飯は炊飯器が炊いてくれるから問題は無かろうが、いざというときのために鍋で炊く方法を記載する。

米が新米ならば、米の量と水の量はほぼ同じくらいでいいだろう。米2合なら水も2合強と言うところ(勿論米をとぎ終わった後の話)。

鍋を火にかけて、中火くらいで煮る。ふいてきたら素早く弱火にして、通常は8分、少し厚い鍋なら10分くらいそのまま炊く。そのくらい炊いているとピチピチと音がしてくるので、見計らって一気に強火にして3〜4秒。火を止めたら、蓋を取って布巾かぶせ、再度蓋をして10分くらい蒸らす。蒸らした後はしゃもじで天地をひっくり返す。底の方が少々焦げているくらいが成功だ。

なお、米のとぎ汁は油ものを洗うときに使えるので、捨てないでとっておこう。

味噌汁のだしはいろいろなものが考えられるが、私はやはり煮干しが一番いいと思っている。頭やはらわたを取るという上品なやり方もあろうが、それだったら小振りのものを使えばいい。そのまま具として食べることもおつなものだ。煮干しが入ったままの味噌汁は品がないと仰せの向きは、だしを取った後に取り出して細かく刻み、卵とじなどにすると良かろう。捨てるのはあまりに勿体ない。

私はあの魚臭い味が大好きなので、料理を始めるかなり前に鍋に水を張り煮干しを入れて一煮立ちさせて放置しておき、味噌汁を最後に作ることでじっくりとだしを取ることにしている。これは好き好きだと思う。味噌を入れてからは沸騰させないというのは、セオリー中のセオリーだ、言うまでもないことだが。

【即席ラーメン】

時間のないとき、面倒くさいときに即席ラーメンは実に都合のいい食べ物だ。ただ、どうしてもそのままだと栄養が偏るので、ついでに野菜炒めを作ろう。

まず、どんぶりに付属のスープを半分ほどあけ、お湯は別途沸かして用意をしておく。鍋にたっぷりの水を入れて火にかけ、そいつが沸くまでに、豚肉・キャベツ・ピーマン・モヤシ・キノコ類(要は冷蔵庫に余っている野菜類)などを炒める。味付けは塩・胡椒のほかに、先ほど半分残しておいた付属のスープを使う。

炒めている間にお湯が沸騰するだろうから、麺を入れて茹でる。このころにどんぶりにはお湯を注いでスープを作っておこう。

茹であがったら、ざるなどでゆで汁を切り、どんぶりに麺を入れる。その上から炒めた野菜を載せる(これは別皿でも勿論いい)。

簡単だし、減塩にもなるので、是非ともお試しを。

【刺身】

刺身に関しては、先に「つま」を味噌汁の具にするという形で紹介したが、もう少し触れておきたい。

特に単身生活において刺身を買う場合、すでに「お造り」になっているものを求めることが多いだろう。

だが、少し手間をかけるつもりがあるのであれば、是非とも一尾丸ごと買ってきた方がいい。自分で気に入ったものを選べるし、経済的だ。

特に鰺なんかは単身者がさばいて刺身にするのには都合が良く、しかも安くてうまい。

ただ、小骨が多いのは難点かもしれない。料理屋などでは専用の毛抜きを使って丹念に小骨を取り除くそうだが、一般にはなかなか大変な手間だ。

そこで一案、小骨の多い腹側などはたたいてしまおう。

ショウガや味噌を混ぜて一緒にたたけば「なめろう」にもなる(味噌を梅肉に替えると「梅和え」になる)。

これは、例えばマグロなどの切り身を買ってきたときに、意外に処置に困るスジの部分にも当てはまる。たたいて、わさびやワケギと合わせれば、これも酒や温かなご飯に圧倒的に合うだろう。

お試しあれ。そうそう、包丁は二本にしてたたくとより能率的だ。

ところで、おろした後の中骨や頭はどうするかって?

私は、素焼きにして出汁を取るのに使う。鰺の頭や中骨は結構濃厚ないい出汁がとれるのだ。(^^)

冷や飯の取扱い

米というものは、ある程度の量を確保して炊かないと美味しくない。

先に、少量の米でも鍋で炊けば何とかなる、という趣旨のことを書いたが、やはり、理想的には3合以上、最低でも2合は確保して炊かないと辛いものになる。

こうした状況を鑑みれば、残った飯の処理方法も一応考えておくべきだろう。

飯をジャーなどに入れたまま保温状態にしておくと、大概三日くらいで黄ばみ、ぱさぱさになってしまう。

だから、握り飯にして一つ一つラップに包み冷凍する、というのが対策としては常套手段と考える。

レンジがあればそのまま温めればいいし、なければ酒などを振りかけて蒸せば何とかなる。

さて、以下はバリエーション。

このほかにも、丼ものにしたり、混ぜご飯にしたり、と様々な対処方法が考えられるが、まあ、一つの参考としてご覧いただきたい。

雑炊・おじや

誰でも考えつく対処方法としての雑炊・おじやの類は、相応の注意が必要だ。

残ったみそ汁に残り飯をぶち込み、加熱しながら掻き混ぜる、というのがセオリーだろうが、大抵の場合、飯がノリ状になってしまうのだ。正直にいって、こいつは途方もなく不味い。

下手なタイミングで溶き卵なんか入れたら最悪である。

作る場合は、まず飯を水洗いしぬめりを取って水を切り、みそ汁等にぶち込んだら一煮立ちで火を止める。三つ葉などをこの段階で入れれば、それなりに美味くなる。

また、どうしても卵を入れたい場合は、煮立ったところに回し掛け、もう一度煮えたら火を止めて余熱で固めよう(卵を入れるのはあまり薦められない)。

肝心な心得は、とにかくむやみに掻き混ぜないことに尽きる。

出来上がったら、すぐさま食べよう。放置しておくとどんどん汁を吸って飯粒が肥大し、不味くなっていくから。

水洗いしてぬめりを取る暇がなかったとしても、とにかくむやみに掻き混ぜたり、長時間加熱しないこと。

お茶漬け

お茶漬けなどという定番もある。

しかし、これもなかなか美味く作れない。

お茶漬けの元を振りかけてお湯をかければそれでいいじゃないか、という意見もあろうかとは思うが、どうにも私は好きになれないのである。

なんかいい方法はないかなあ、なんて考えながら、試しにやってみたことを紹介する。

  1. まず、残り飯を焼きおにぎりにする(焼きおにぎりを作るのは結構コツがいるからうまくやってね)。
  2. 同時に、昆布や鰹節などで少し濃いめの出汁を作る。
  3. 焼きおにぎりをどんぶりに入れ、梅干しと三つ葉を散らし、出汁をかける。
  4. 好みで醤油や荒塩を加え、味を調える。
  5. わさびを添えて食べる。

焼きおにぎりがうまくできていれば、それなりに美味いと思う。

チャーハン

さて、私のとっておきの処理方法は何かといえば、これはチャーハンに尽きる。

残り飯の処理ではこれが最高だと思う。

作り方には様々な意見が存在するようだけれども、要するに大火力で手早く作ることが肝心。用いるのは中華鍋が一番いい。

参考までに私の作り方を紹介しておく。

  1. 中華鍋をガスに掛け、強火で煙が出るまで熱する。
  2. 少し多めに油を入れて、煙が上がってきたら卵を落とす。
  3. 卵を掻き混ぜながら、少しドロリとしたところで、飯を投入。
  4. おたまで飯をつぶしながら卵と絡めて炒め、刻んだネギ、ジャコ、鰹節、予め炒めておいた具などを投入する。
  5. なるべく鍋を大きく動かしながら塩・コショウをし、ぱらりとした感じに手早く炒め、飯に直接掛けないように注意しながら、鍋の縁に醤油をかけ回す(香り付けのため)。
  6. もう一度全体を絡めるように炒めて出来上がり。

予め飯を洗ってぬめりを取っておくと飯をつぶす手間が省けるが、ちょっと湿り気が強くなるような気がする。これは好みの問題かもしれない。

具をあんかけのような形にして、ネギと卵だけで作ったチャーハンに後から掛けるというのもおつなものだ。

また、黒澤と@猫の森さんにお聞きしたのだが、飯を予めマヨネーズで和えておくと格段にうまくなるとのこと。

早速試したが、これはなかなかいける。(*^o^*)お試しあれ。

【補遺】折り詰めの鯛

結婚式などに出席すると、鯛の尾頭付きなどをおみやげに持たされることがある。

縁起物ではあるが、特に単身者の場合、始末に困ることが多いだろう。温めなおして食べても結構手に余るものだ。

そこで、こんな方法はどうだろうか(2004.1.28)追記

  1. 土鍋に昆布を敷いて水を入れ、件の鯛をそのまま放り込む。
  2. 加熱している間に、ワケギ・水菜・キノコなどを適当に切り、豆腐を水切りしておく。
  3. 煮立ってきたら、鯛の身をほぐしキノコを入れ、酒を少々入れて荒胡椒をふりかける。
  4. 再度煮立ってきたら、ワケギ・水菜、適当に切った豆腐を投入。
  5. 醤油で香り付けをして火を止める。

折り詰めに入った鯛の尾頭付きは、大抵かなり塩辛いので、塩味はこれで十分に足りるはずだ。

この方法だと、身はもちろん、一番うまい頭の部分もむさぼり食えるので便利である。

体も温まるし、酒のつまみにもなるので、是非ともお試しあれ。

なお、言うまでもないことですが、鯛以外の鍋の内容物はお好みに合わせてアレンジしてください。香辛料も別に胡椒である必要はなく七味でもいいし、ブイヨンベースで洋風にするのもいいかもしれません。要は「煮込んでしまう」という点がポイントなので。

【寄稿】パンの耳の処理

「アイデア募集」的なことをお願いしていたところ、黒澤と@猫の森さんより、パンの耳の処理を兼ねた料理法の素敵なご提案を頂きましたので、以下にご紹介します(2003.5.26)。ご提供深謝。

料理名:Sopa de ajo(にんにくのスープ)

材料:オリーブ油、乾燥ニンニク、生ハム(2枚)、パンの耳(2枚分)、コンソメ、パプリカ、卵、塩コショウ

下ごしらえ:

作り方:

黒澤と@猫の森さんの補遺

…ホットサンドで余るパンの耳の使い道を考えていたとき、テレビのスペイン語講座で偶然この料理を紹介していた。番組ではパンをそのまま使っていたが、耳でも充分美味そうだったので、軽くトーストして使ってみたところ☆☆☆☆。

朝寝坊した日曜日の朝食に最適。材料費は一人前100円もかからない。

いかがですか?

想像するだにおいしそう!(^^)v

私も早速試してみましょう。

【寄稿】料理全般についてのアドバイス

料理は楽しいけれど義務となると辛くなる」と仰るえみ丸さんより、料理全般について大変貴重なアドバイスをお寄せいただきましたので、以下にご紹介します(2004.1.28)。ご提供深謝。追加アドバイス付記(2004.1.31)

なお、標題・体裁などは多少変えさせていただきましたが、基本的に原文をそのまま引用しております。

◆チャーハン用のご飯
残りご飯でチャーハン、私も良く作ります。
この時に必ずレンジでチンして暖めたご飯を使ってください。ご飯はパラパラとほぐれやすく、つつき回さないで済みます。
これは、焼きソバにもどうぞ・・・。
◆冷凍油揚げの処理
「油揚げ」の冷凍、私もいつもします。
この時に、出来たら一度まとめてお湯を通しましょう。油が抜けて身体に良いし、味もしみやすくなります。
◆油揚げの冷凍について(補遺)
ところで、言葉が足りなかったのですが、油揚げは湯抜きしてから冷凍すると使いやすいですよ。
湯抜きせずにそのまま冷凍した油揚げは、リード・ペーパータオルなどに包み解凍します。解凍したものは、包んでいたペーパータオルでぎゅっと押すと油が紙に移ります。
私はよく「おいなりさん」を作るのですが、これは冷凍してもほとんど味が変わりません。朝解凍して、山の弁当にも便利に使っています。酢飯は時間がたっても美味しく、食欲も出ます。
◆天麩羅の冷凍
油といえば、「天ぷら」が残ったら冷凍して下さい。
天ぷらとして美味しいという訳には行きませんが、お昼のうどんなどに入れると美味しくいただけます。
◆衛生面のこと
最後に衛生面で・・・。
フキンや台フキンは、必ずチンしてから干しましょう。殺菌効果と早く乾くという利点があります。
早く乾くという点で、電子レンジは洗濯物の乾燥にも使えます。でも、金物や黒い色には要注意、タオルなどで様子を見てから試して下さい。

一読して、なるほどと首肯いたしました。

こうした貴重なアドバイスをお寄せいただけるのは本当にありがたいことです。改めて御礼を申し上げる次第です。

ところで余り物の冷えた天麩羅の処理について、TVの「伊東家の食卓」で「水に浸けてもう一度揚げる」という手法が紹介されていましたね。実際にやってみたら、これは大変効果的でした。

世の中にはいろいろな生活の知恵が存在するのだなあ、と今更ながらに感心しているところです。

なお、1月29日に、油揚げ関係で追加のアドバイスを頂戴いたしましたので、併せてご紹介いたします。


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洗濯

洗濯は避けて通れない作業だ。

嘘か本当かは知らないが、洗濯物を纏めて留守宅に持ち帰るという話を聞いたことがある。まあ、赴任先が近ければそれも良いかもしれないが、私のように留守宅が横浜で赴任先が熊本だとそんなことは不可能だ。宅急便で送るわけにもいかないし。

一番簡単なのは、クリーニングに出せるものは出して、後はコインランドリーを使うというもの。

しかし、いずれも時間など他律的な要因に縛られるので、私はなるべく自分でできるものは洗濯することにしている。

【洗濯のサイクルなど】

私はなるべく2日に一回のペースで洗濯するように努めている。これは風呂とのかねあいだ。

単身者にとって風呂の残り湯は馬鹿にならない存在だ。特に、安全面から追い焚きのできない構造になっている風呂(私のところはそうである)ではことは深刻なのである。

つまり、なるべく水を無駄にせず、気持ちよく風呂に入るためには、2日にいっぺん風呂の湯を替え、その際に洗濯もすましてしまうというサイクルが最適なのではないか。

さらにこのサイクルを守っていると、カッターシャツのアイロンがけや後かたづけなどが比較的楽になるというメリットもある。

靴下やパンツなどは風呂に入ったときに一緒に手洗いしてしまうといいかもしれない。

また、小物の整理やシャツなどが絡まないように、洗濯ネットを使おう。見落としがちだが、この洗濯ネットも、洗濯物と一緒に干すことを忘れずに(当然だが)。

カッターシャツの襟や袖口はブルーキーなどのスティック型洗剤でもみ洗いをしておく。面倒くさいかもしれないが、習慣にしてしまえばそれほどでもない。

アイロンがけのために、カッターシャツなどは糊付けしよう。襟あたりの汚れ落ちも良くなり、一石二鳥だ。(^^)v

あと、意外に見落としがちなのは「洗濯機の掃除」。

水垢などで洗濯機は結構汚れるものだ。放置したまま洗濯を繰り返すと、最悪の場合、洗濯機に付着した水垢の汚れなどによって衣類にシミが付いたりする。(^^;コレガナカナカオチナイ……

洗濯機専用の洗剤が市販されているので、不精者はこれを使おう。因みに私は、定期的に洗濯槽の部品を取り外して、徹底的に洗っている。細部は使い古しの歯ブラシを使うといい。(^^)v

【山登りの後始末】

山登りの後始末で洗濯をするときは、対象物が大概泥だらけになっているので別物として考えよう。まあ、まさか、通常の洗濯物と混ぜてそのまま洗濯機に放り込む人は居まいが。(^^;いたりして

まずは水洗いで泥を落とす。バケツに風呂の残り湯を汲んでもみ洗いをしながら何度か水を換えるとたいていは大丈夫だが、長期間に及んだときなど、あまりに対象物が多すぎてうんざりするだろう。(^^;

そんなときに私は、通常の洗濯に必要な残り湯などを汲んでしまったあとの風呂桶に当該対象物を放り込み、足で踏みつけて汚れを落とす。これが結構効くのだ。(^^)v

あらかた泥が落ちたら、洗濯機で本洗い。ただし、細かな砂粒などは落ちきらないので、洗濯機のフィルターの汚れはこまめに落とした方がいい。もちろん洗濯槽に残った砂粒などの汚れは、すすぎなどの前にきれいに洗い流しておくこと。

【出張時の洗濯】

これは単身者に限ったことではないが、泊付きの出張では着替えをどうするのかが結構問題になる。まあ、一泊二日くらいなら、さほどでもないが、三泊以上になるとさすがに対策を考えておく必要があるだろう。

今のビジネスホテルは大抵クリーニングサービスがあるので、同じホテルに連泊する場合はこれを利用することで半ばが解決する。

問題は、そうでない場合の対策だ。

私の場合は、入浴時に、靴下・下着・ハンカチなどをついでに洗い、カッターシャツは袖口・カラーなど汚れている部分をつまみ洗いする(特に背中や前面にしわが寄らないように注意しよう)。

カッターシャツでつまみ洗いした部分の湿気を備え付けのバスタオルで取り、ハンガーに掛ける。

靴下・下着は、よくすすいで絞り、バスタオルに広げる(ハンカチはすぐに乾くのでタオル掛けにかけておく)。端からバスタオルを筒状に丸めていき円筒形になったら折り曲げて足で踏み込む。これを何度か繰り返し、ハンガーなどに掛けて干しておくと、空調の利いている部屋では翌朝までに完璧に乾くだろう。

これで着替えなどを節約できる。お試しあれ。


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アイロンがけ

これが意外に重労働だ。

ここでもまず大切なのは、必要最小限にすることだ。ハンカチなどは干すときにきれいにしわを伸ばして長方形に畳んでおくと、取り込んでからそのまま畳んでもほとんど問題はない。

下着にアイロンをかける人はあまり居ないとは思うが、同じく、干すときにしわを伸ばして両手で叩いておくと、取り込んで畳むときに好都合だ。何しろ収納も重要なポイントであるから。

使用するアイロンはスチーム式の方がいい。できればコードレスの方がさらにいいが、これは贅沢というものかも(私もコード付きだ)。

【カッターシャツ】

さて、カッターシャツのアイロンがけ。

これだけは逃げられない。頑張ってやろう。(^^;

まず、襟の裏側からかける。こうすると表側にしわが寄らない。

次に表に返して襟にかける。次に背中をかけて(タックなどがあると結構面倒だが、辛抱辛抱)、表に返し肩から袖口をかける。このとき肩から袖の線を一直線できれいにかけておくと、いかにもピシッとしているように見える(かな?)。最後に前面をかけて終わり。こうすると一番しわの目立つ前面がきれいに仕上がる。

【ズボン】

ズボンのアイロンがけは、神経を使う。できれば、クリーニングに出してやってもらった方がいいだろう。

だが、そうも言っていられない不測の事態もあるかもしれないので参考までに書いておく。

まず裏返して、膝のあたりを重点的に当て布をして裏から十分に蒸気を当ててのばしてやろう。

表に返したら、当て布を忘れずに、低い温度で丁寧にかけていく。特にタックの部分は注意が必要だ。

変な筋が付いたら、裏から当てて筋をのばし、やり直そう。

【その他】

背広やズボン関係のアイロン掛けをなるべくしないで済ませるため、出張など特殊な場合をのぞいて、毎日着替えよう。おしゃれのためだけではない。くたびれ方が違うのだ。これは靴にもいえる。中一日でもあけると長持ちすると言われるが、これは実感している。

また、時折、風呂場に背広を干しておくと、蒸気をすってしわが自然に伸びる。

後は、よくブラシをかけておくことだという。光るのを止めるのに効果があるようだ。


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掃除など

掃除。なかなかやる気の起きない仕事の一つだ。何しろ私は「部屋が多少汚れていたって死にゃあしない」という持論の持ち主だから。

従って「理想」としては、フローリングの、余分なものは何もない部屋に暮らし、気がついたときにハンドモップで埃を取る、なんてのが最高なのだが、私は、畳とちゃぶ台と布団が大好きで、できれば火鉢が欲しい、てなヤツだから究極の選択を迫られる辛い立場にあるわけなのだ。(^^;

そういう意味では、今の居住空間である「6畳の畳部屋1LDK40平米」はかなり恵まれた環境といえるかもしれない。要は、やたらに床にものを放置せず、できる限り定位置に運んでおくという日頃からの態度が決め手ということだろう。

【一般の掃除】

ヘンな項目だが、要するに通常の部屋の掃除についてである。

週末はたいてい山に行ってしまうので、基本的には土曜日の午前中を掃除にあてている。天気が良ければ布団を干して、その間に掃除機をかけるのだが、特に埃の堪りやすいテレビやパソコンの裏、ふすまの桟、部屋のコーナーなどを念入りにかける。たまにはお茶殻を撒いて埃を掃き出すのも効果的だ。

テレビ・パソコン・本棚などはハンドモップで埃を取る。以前、書類などを箱に入れたまま放置していたら、気付かないうちに盛大に埃が堪ってしまったので、それ以降は布をかけることにした。掃除の際にこれを叩けばいいわけだ。

たまには雑巾がけもしよう。雑巾がけのあとは結構微少なチリが残るので注意。

【便所の掃除】

手洗いが汚れていると、いかにもその家全体が汚れているかのような印象を持たれてしまう。トイレブラシを傍らに置いて、汚れが目立つ前にまめに落とそう。黄ばみが出てきたらトイレマジックリンなどで落とす。縁は使い捨てのトイレクリーニングペーパーで拭くのが手軽だろう。

とにかく「汚れがこびりつく」前に落とすのが、結果として一番「楽ちん」なのだ。縁の裏側などは結構汚れを見落としがちなので注意しよう。(^^)v

もう一つ、尾籠な話で恐縮だが(そもそも「便所の掃除」自体が尾籠だが)、胃部X線検査などでバリウムを飲んだ後、排出されたバリウムが完全に流れずに残ることがあるので、まめにこすり落とす方がいいということを付け加えておく。(^^;うーん大きなお世話だな

【布団干し】

人間は寝ている間にコップ一杯分の汗を排出するという。布団はその大部分を引き受けるわけだから、定期的に干さないと、あっと言う間に「センベイ布団」になり、下手をするとかびが生えることだってあるだろう。

私などは、基本的に日なたのにおいが大好きなので、布団乾燥機はどうも苦手だ。しかし、単身の悲しさ、平日どれほど良いお天気であっても、布団を干したまま出勤するわけにはいかない(実は、独身だった時分に3回ほど、干しっぱなしで出かけて雨に降られた経験があるのだ…(^^;←学習効果のないヤツ、サル以下)。

そこで一計。車の中に干すことにした。

何しろ、真夏などでは車中は60度を超す高温になる。ダニなんか一発でコロリだろう。

試してみると、予想通りバッチリ!(^^)v。是非ともお試しのほどを。

ただし、帰宅して布団を取り込むときにはちょっと抵抗を感ずるかもしれない。私自身も、実際に車から布団を出して、抱えながら階段を上るときは恥ずかしかった。(^^;

朝早い時間は、みんな忙しいから気にもとめないのだろうが、夜は違う。その点だけは熟慮のほどを。


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単身生活の勧め?

さて、以上書いてきたように、単身赴任生活は「それなりに」大変だ。職務命令によって家族を引き離すという基本的なあり方自体、ある種の人権侵害だといえるかもしれない。

しかし私は、初めての体験だった単身赴任を振り返ってみるときに、結婚生活の中で見落としてきた様々なものを再確認させられたような気がするのだ。

それは「家事」という労働に対する価値観に基づくところが多い。

【家事労働】

男性側の一般的な思いこみとして、女性は家事が得意で男性は不得手、故に、女性は家事が好きで男性は家事が嫌い、などというものがある。これが牽強付会な言いぐさであることは言を俟たないであろう。

私自身、仕事で疲れて帰ってきたときには、家のことなど何もしたくない。「今日、洗濯をしておかないと、明日が大変だ」と、頭では分かっていても、身体がいうことを聞かないのだ。「明日は明日の風が吹く」ってなことになってしまう。(^^;

飯を作ったり洗濯は愚か、下手をすると風呂さえ立てずに、「朝、シャワーでも浴びればいいや」なんてことになりかねない。

これは男特有の感覚なのだろうか。そんなことはあり得ない、と私は思っている。実際、横浜で留守を守っている(ウーン、この書き方もどうかとは思うが)連れ合いに聞いてみたところ、同じような感覚を持つことがあるらしい。

そう、正業(これもちょっと表現としてはいただけないか)を持つ身にとって、家事はそもそもオーバーワークなのである。男であろうが女であろうが違いはない。

単身赴任をするまで、家事に携わるときには「手伝ってやっているのだ」という感覚があった。つまりは、家事を「連れ合いの役目」と知らず識らずのうちに考えていた、そのことを白状する。

長いこと独身生活を経験し、ある程度の家事はさして煩わしくもなくできる自信があってすら、基本的なところでは大いなる思い違いをしていたのである。

単身赴任生活はそこのところを否が応でも思い知らせてくれた。口幅ったい言い方ではあるが、要は「思いやり」の問題なのではないか、と。

相方が疲れているのであれば自分がやろう、両方が疲れているのであれば両方のできる限りのことをしよう、相手がやってくれたことに関しては心の底から感謝しよう、そんな心根が、家事労働の煩わしさをずいぶんと軽減してくれるものだ。

この単身生活を通じて、私は肩の力を抜いて自然にそう考えられるようになっていった。

私が「単身生活」お薦めするゆえんはそこのところにもある。


しかし、中には本当に全く家事労働ができない人もいるだろう。そのような人を単身で送り出す奥さんの心配もひとかたならぬものがあると思われる。

そんな場合に参考になる事例を紹介する。私もこの話を聞いて、感心するとともに、何ともいえず温かな気持ちにさせられた。

【ある事例】

Aさんの単身赴任が決まった。

結婚するまで自宅に起居して、奥様も専業主婦であるAさんは、家事を全くやったことがなかった。

そのことは、Aさん以上に奥様を屈託させた。

奥様は以下のとおりその対策を立てた。

洗濯物

週末に一週間分の汚れ物を留守宅に送り、替わりに一週間分の着替えを送ってもらう。

食事

奥様は、毎日Aさんの分までご飯を作り、それをラップして冷凍しておく。

一週間経ったところで一週間分の食材を梱包し、クール宅急便でAさんの元に送る。

Aさんは、それを冷凍庫に保存し、毎日レンジで解凍しながら食べる。

どうだろうか。

特に食事に関するアイデアに私は感心した。

Aさんには3人のお子さんがおられたので、食事において4人分を作るのも5人分を作るのも、手間の上ではさして違いはなかろう。しかし、Aさんにとっては単に手間が省けるどころの話ではない。一週間遅れとはいえ家族と同じで、しかも自分にとっても馴染んでいる食事を毎日摂ることができるのだ。

甘やかしている、と指摘する向きもあるだろうか。

しかし、そうした生活の中からAさんは、洗濯物をコインランドリーで洗うことをし始め、カッターシャツもクリーニングに出すようになる。

魚を焼いたり簡単な味噌汁を作ることもできるようになった。環境がAさんを成長させたともいえるが、これも奥様のアイデアが功を奏したように思われてならない。自立にはやはり愛情も必要なのである。

【(附記)思い違いについて】

さて、この項の最後に、単身者が陥りがちな「思い違い」について触れておきたい。

単身赴任をすると、現地妻ができたり、不倫に走ったり、という、例のアレである。

冷静になって考えてみれば分かることだが、自由になるカネもないくたびれ果てた中年男に恋の甘い誘惑など訪れるわけがない。

場合によっては、女性から優しい言葉の一つもかけられることがあるかもしれない。しかし、それが恋愛感情に基づいて発せられることなど、99.9%あり得ない(0.1%くらいはあるかもしれないので「絶対」という言葉は取りあえず使わないでおく)。「単身赴任で見知らぬ土地に来て仲間もできずに孤立していてかわいそう」と同情されてのことならまだいい方で、たいていは役職に対する配慮などが背景になっていると心得るべきである。あるいは飲み屋などにおける純粋な商売を背景としたものか。

にもかかわらず、その優しい言葉を勝手に誤解してその気になったりすると、待っているのは「セクハラ」「スケベオヤジ」というサイテーの非難だ。(^o^;

心せよ!!\(`o')

おのが姿態を鏡に映して子細に眺めるがいい。たらーりたらりと流るる油を煮詰めて造りしこの軟膏………、違う違う。_(^^;_☆\(^^;

映し出された己の姿の中に、道を外れた危険な恋のにおいや悲恋などというものの寄り添う余地があるだろうか。冷静に己を知ることは傷つかないための、唯一の対策である。心せよ。幻想は幻想であるが故に美しいのだから。

もう一言。

留守宅を守る奥様方に言いたい。

旦那が単身赴任をすると、赴任先で浮気をするんじゃないか、と疑心暗鬼にとらわれる例もあるらしいのですが、浮気というものは、あくまでも、相手があるからできるわけです。

以上述べましたように、私らのようなくたびれ果てた中年オヤジにそんな相手など出来ようはずがありません。

よくよく自分の宿六の顔を眺めてみて下さい。宿六はあなたが居るからかろうじて男性としての体面を保っているのですよ。くたびれ果てた自分の亭主が、ほかの女性に好かれるなんて思い上がりも甚だしい。

ご亭主共々、奥様も思い違いにはくれぐれもご用心のほどを。老婆心ながら_(^^)_


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